GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

死役所

ぴっこま先生が「読める範囲まで読ませてあげる」というので大分読ませてもらえました。
面白かった。
人は皆死ぬと誰しもがとある役所に行き、「いつ、どうして死んだのか」を届け出て書類を作り、登録され、そして成仏の扉の向こうへ行く。その先がどうなっているのかは誰も知らない。天国に行くのか地獄に行くのか生まれ変わるのかもわからない。
そして皆死んだ時の姿でやってくる。事故で死んだ人は頭が半分無く、腹上死した人は素っ裸。更にそして、死んだ人は生者の世界のことはもはや一切わからないし、関わることも出来ない。自分が死んだ後どうなったのかもわからない。生者になにかメッセージを残すことも出来ない。
良い人も悪い人も死んだら皆平等、という言葉を本当にリアルに感じた作品でした。死んだら全て終わり。この辺は正解はなく個々人の考え方、宗教観、生死観にかかわってきますが、こういう考え方があっても良いとは思う。本当はどうなのか誰も知らないんだし。
読んでいてやりきれない思いになる話が多く、というか必ず死人が登場するんだから明るく楽しいままで終わる訳がありませんが、なんというか…物語を読み終わった後、明るく終わるか暗く終わるか別として「何があったのかわかって腑に落ちて終わる」のが普通だと思うのですが、終わりまで読んでもなにかはっきりしないものが残る、話がある。普通はそれは不親切とか、作者の勝手と言われるだろうが、でも物事はこういうものだなと思う。ミステリと言わないで(違)のととのう君も「真実は人の数だけある」と言っていて、そういうことだよなあと思う。
全編を通しての主役が居るのですが、いかにもなお役所の人。でもないな、この頃はニコリともしない役所の人いるもんな。七三分けで、四角いメガネかけてるこの人はもう満面の笑顔で、あり得ない角度の笑顔で、死んだばかりで右も左もわからずうろつく人にお困りですか?と話しかける総合案内の人。最初のうちはそういう、死役所の代表役みたいな役回りの人なのかと思って見ていたけれども、この人にも複雑な事情があり、突き止めたいことがあって、役所で働いている。そう、この役所で働くには、とある条件があるのだった。それは。それは内緒。
笑顔の仮面をかぶっているこの人が、本当にごくまれに、素顔を出すことがある。それは怒りや、惜別や、済まなさといった感情によるのですが、それらの顔がとても、魅力的です。ようつべであれば「最もリプレイが多いシーン」て感じで、その表情を何度も見ました。ハイ
ただで読ませてあげる範囲が終わってしまい、彼の追っている謎が解けたのかどうか判りません。解けることを祈る。そして彼が納得して成仏できる時が来ることを祈る。

これはお薦めします。私のような形でもなんでもぜひ読んでみて下さい。
ドラマ化もされたらしい。誰がやったの?まつおか…どうだったんだろうな。