GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

ナイル殺人事件

甘プラ、いやアマプラに入っていたと聞かされ大昔の方のだと思い込んで大喜びで探したら最近版の方でした。まあよかろうと思って観たわけですが…
アガサ・クリスティの作品は大抵、原作通りの人員配置にするとあれやこれや大変なので、端折ったり、2人を合体させて1人にしてみたり、消されたキャラクターの要素を持たせてみたりする訳です。たまには原作のまんまで映像化してみては如何と思う。良いとこも悪いとこもそのまんまで。
旧のナイル殺人事件映画ももちろんそういった変更はありましたが、今回の変わりっぷりにはびっくりしてしまった。ワトソン係も違うし、何といっても結構重要な役割を果たすキーパーソンの性格や立ち位置が変わっていて、そのため死ぬ係まで変わっていた。いや驚いた。ブーク君、原作でもそういう名前だっけ?いきなり株が上がったサロメ・オッタボーンとその娘ロザリーが黒人というのも、時代を感じる。リネットのキャラクターに「人種差別」も入れてしまうのね。リネットなら言いそうじゃない?で押し通す。まあ、正直ありそうなエピソードではありましたが。
そしてまたこれも今言った「目下の世界的な流れ」の流れではありましょうが、LGBTQの要素を無理やりぶっこまなくても良いのではと思いました。もともとの原作で、それが事件を動かすひとつの要因となっていた、というのなら別にいいのですが、唐突に「ふたりは愛し合っている」と言われても。いろんな要員によって人は殺人を犯す、嫉妬、義憤、金欲等々。同性愛もそのひとつ、という理屈でしょうが、正直、取ってつけた感じがしました。
今回ポアロの個人的な体験、未だ囚われている過去についていろいろ想像し膨らましていたのが、珍しいなと思いました。彼は他のどの作品でも尊大で自意識過剰で「自分スゲー」ですが、そんな自分であることを弁えているし、他人(特に女性)に対して尊敬や慈悲の心を持ち合わせている魅力的な名探偵、で通ってきて、それで良いと思うんですがね。彼の個人的な苦しみとか哀しみに関しては、原作の最後の話である「カーテン」くらいで。今回ちょっと痛々しすぎた。
そして、最初の映画の時はこれでもかという豪華キャスティング感がありましたが、今回は正直しょぼかったなあ。なんといってもジャクリーンのキャラクターが弱い。弱すぎる。ジャクリーンとポアロが話すシーンが全然ないもんだから、さっぱり彼女に感情移入できなかった。それはあの物語にとってはかなりの欠陥な気がする。そうよ、ドイツ人のお医者様も居ないし、いとこにいじめられる可哀想な娘も居ないし、なんかちょっと人数はしょりすぎではないか。
まあでも豪華船でナイル河を下っている気持ちを味わえてようございました。ぜひとも古い方のナイル殺人事件を観たいです。あとオリエント殺人事件も観たい。