普通三国志というと抗菌、じゃなくて黄巾の乱から五丈原で孔明がしぬるところまでやるわけですが、三国志のアニメ映画は3本組で、1本2時間半くらいはゆうにある。このくらいの余裕があると結構細かくちゃんと作れるんだなと思いました。
で、まだ2本目までしか観てない。2本目はかの有名なレッドクリフの戦いの後、周瑜がしぬるところまででした。やっぱり赤壁の戦いが一番華やかで安心して観ていられるね。劉備の関係者は誰も死なないし、孔明はかっちょいいし。時々出てくる「科学的な知識に基づいて立てている作戦を、まるで神がかりみたいに見せて相手を騙す」というやつ、かっこいいね。ニクイね。「おおお、東南の風が吹いた！孔明…あやつはもはや天さえも動かせるのか。恐ろしい」違う違う
三国志演義などのお話の方はもちろんですが正史においても、劉備玄徳は義理人情に篤くて弱者の味方なのでぞろぞろとついて来る難民のために敵に追い付かれたり城を空けたところを襲われたりそんなのばかりです。部下たちが「今攻め込めば城や領地が手に入ります」と言っても「そんな不義理は出来ない」ばかり言う。その時の部下たちの胸中を想像するに「あ～出た不義理。この方にも困ったものだけど、ここがいい所だからな。自分たちがなんとかしてあげないと」みたいな感じではなかったかなと思う。孔明は人の心の動きなんか全部お見通しで、そこいらを計算に入れた上で作戦を立てる訳ですが、それでも劉備玄徳の「不義理は出来ん」攻撃には時々ありゃーとなったのではなかろうか。
で、関羽はみんな知ってる有名な武将です。中国では神格化されあちこちにお寺…祠…神社…わからないが関羽を祀った建物がある。武に優れ義理を重んじ、同時代の敵味方から称賛されている。かっこいい。長くてきれいな髯がトレードマークで、孔明には「髯どの」と呼ばれている。かっこいい。
人は良いけど戦争や政治が下手くそな劉備のために、関羽が劉備の奥様を背負って曹操の軍門に下らねばならない場面があるんですけど、そこがまあ、もえポイントが山ほど。曹操って悪役を一手に引き受けてる暴君なんですけど、まあその、ネロというか、DIOというか。その人も関羽にほれ込んでいる。ぜひとも自分の部下になって欲しくてたまらない。なのであれこれ贈り物をするんだけど全然喜ばない。唯一喜んだのが赤兎馬という名馬で、誰にも乗りこなせないけど貴殿ならばといってプレゼントする。すると関羽は乗りこなすし大喜びする。おっ喜んだ、と思って「何故今回は喜ぶのか」と訊くと「この馬ならば兄者（劉備）の行方が知れたらたちまち駆け付けることが出来るから」と返されてガッカリする、というなんとも気の毒な話です。
その、敵の武将にしかたなく膝を折って従う図柄ももえるし、それを丁重に扱って「是非わが部下になられよ」と迫る暴君ももえる。この後曹操が袁尚との戦いで顔良という武将に誰も勝てなくて困っとる時に関羽が進み出て首を斬って持ってくるんですが、敵の武将のために戦ってあっさり勝って首を持ち帰る血なまぐさい場面ももえる。もえませんか？
劉備の居所がわかって、曹操のもとへ別れの挨拶をしに来るんだけど、居留守を使って去らせてくれない曹操。せこいが気持ちはわかる。この後、赤壁の戦いで敗走する曹操の行く先々に孔明が配置した劉備軍が居ていよいよもう駄目、というところで最後に関羽が現れて、その時一回は殺そうとするんだけど、どうしても義理がたいのでつい逃がしてあげてしまう。その関羽を皆の前で叱責して「死罪だ」とか言う孔明に皆慌てて止めるんだけど、関羽が居なくなった後ケロリとして「こういう叱り方をしないと皆にわだかまりが残るから」とか言う。孔明はあれかな、関羽がついつい曹操を許してしまうことまで計算に入れていたのかな。「すべては計算通り」だったら関羽を最初のあたりで配置しておいて、逃がしちゃって、次の張飛とか趙雲とかに殺させた気もするんだけど。どうなんでしょうね。この辺りも全部作り話かな？
いやー関羽関係ですっかりもえまくっていい気分です。それにしてもコーエーとかの三国志関連のシミュレーションゲームのイラスト描く人、かっこいいよね！これはなんだろう、カードゲームかな。山ほど居る三国志の登場人物が「統率」「武力」「知力」「政治」「魅力」のパラメーターと共に載ってる一覧表が。孔明がほとんど90以上で知力なんか100なんですけど、武力だけが38っていうのがまた大変もえる。そう言えば人形劇の三国志で、新参者のくせに劉備にやたらと取り立ててもらってる孔明が気に入らない張飛、会議の席で命令されて思わず切りかかった時に咄嗟に受太刀する孔明がまあ、かっこいいのなんのって。あの番組はもう、もえポイントの宝庫でした。関係ないですがあの人形劇の曹操の声を、おかもとのぶとがやってるんですけど、本当にドスの聞いた悪党、魅力的な悪役の声で、とてもとてもその辺の雑草を食べてたり昔の日本沈没で惨めな婿さんの役をやってたり橋田寿賀子ドラマに出てたりする姿とは全然一致しなくて、へぇーと思ったものでした。
話が逸れまくってますがとにかく、有能な武将が故あって敵の軍門に下ってる姿はもえる、という話でした。おわり
