GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

ゴルゴさんの優しさ

相変わらず観ているゴルゴさんです。
ゴルゴさんは大金を貰って狙撃する。でも時々、ものすごく損していることがある。一番びっくりしたのが「ガリンペイロ」という話の時。この単語はあちこちのマンガで見かけますね。南米の金鉱掘りを指すらしい。
妻と娘を殺された男が、現地のならず者どもと、癒着している警察の両方を潰してくれと依頼し、自分は死んでしまう。男の無念はよくよくわかりますが、しかし相手がとんでもない規模である。冷酷な大富豪やマフィアのボスひとり撃ち殺してくれというのとは話が違う。無茶な依頼だし、何より依頼主が依頼直後に死んでしまっている。依頼を受けなくても文句はどこからも出ない。でもゴルゴはそれを受けるんですね。作戦を練り物品を用意するのですが、実行に必要な特殊車両、とてつもない数の武器と弾薬、それから作戦上必要な150万ドル。とにかくすごい金額です。報酬としてもらったダイヤの原石は正直言って屑ものらしい。全然引き合わない。
何故彼は依頼を受けたのかははっきり書かれないけれども、おそらく、依頼主の命懸けの願いを叶えてあげたのだろう。あちこち見たら、この話はゴルゴさんのコストパフォーマンスの悪い仕事のワースト何位かに入る話らしいです。ホントだよ。ゴルゴさんハイジャックまでやってるんだからね。作戦のうちなんだけど。それに、150万ドルは、彼がハイジャックをし(たようにみせかけ)て手にした金をこっそり返すために用意した金なんです。なんて律儀。最終目的は人殺しなんですけど、そこ以外の律義さというか、筋を通すやり方は、コスい悪党やゲスな婦女暴行野郎とは違う。誉めてるようになってしまうのがアレですけど。
あと、時々、ゴルゴさんがターゲット以外の人を殺すことがある。敵の手下とかは除外ですよ。殺さないと殺されますからね。そういうのではなくて。前にも言いましたがゴルゴさんは趣味とか発作的にとか気に入らないことがあってとかで人を殺すことはしない。人を殺した数はすごいことになってるでしょうが、殺したくて殺したことは多分ないんだと思う。で、時々、依頼された目的以外の人を殺すことがあるんですが、それはなんかこう…「死なせてやった」みたいな雰囲気がある。死に場所を与えてやったみたいな。一歩間違えると危ない宗教の思想ですが、ゴルゴさん自身に使命感とか選民意識とか博愛精神とか見返りを求める気持ちが全くないので、彼の判断は多分当たってるのかなあ、と思ってしまいます。
前にゴルゴさんのアニメを作った監督さんが、「ゴルゴみたいな人間は、いるわけがない。結局、感情移入ができなかった」と言っていたそうですが、勿論実際にこういう人間に出会うことはないだろうなとは思いますけれども、ゴルゴさんはゴルゴさんなりの気持ちというものがあり、気持ちの傾きというものがあり、だからこそひとりの男の死を賭した願いをそれこそ命懸けで果たしてやったりもするんじゃないのかなと思いました。
「お前の願い、きいてやるぜ…ちょうど暇だからな」だの「やれやれ、高くついた仕事だったぜ。スリルが報酬の代わりってところか」だのというセリフ一切なしで仕事を完遂する、というところが、ゴルゴさんらしさだと思いますし、死なせてやった相手に対しなにひとつセリフがないところもゴルゴさんらしさだと以下同文
ちょっとゴルゴさん持ち上げ過ぎでしょうか。
今は、えーと、気のいい娼婦と一晩遊んで、彼女の気立てのよさに素で笑ってしまうゴルゴさん、というシーンのあるらしい話が読みたいと思っています。タイトル忘れました。