GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

あなたなんかに

よくドラマやマンガで言われる言葉です。
「あなたなんかに私の気持ちはわからないわよ」
「お前なんかに俺の気持ちがわかってたまるか」
これは実際に言ったり言われたりしたことは多分ないと思う。結構すごい言葉だ。
まず、これを言っている人間は心が千々に乱れています。そりゃそうです。普通に落ち着いた状態でこんなことをすっと言う相手とはもう、関係は修復不可能だろう。
そして傷ついたり苦しんだり、ダメージに打ちのめされている。おとしめられたり、けなされたり(今漢字を変換して、『おとしめる』と『けなす』は同じ貶という字なのだと知りました)罵られたりして、自分が取るに足りない存在だと思わせられたり、思ったりしている。またおとしめたりけなしているのは他人とは限らず、努力しても結果が得られない現実や、良かれと思って選択したことが逆効果であった事実などであったりする。そっちの方がよりダメージを受けるかも知れない。
そういう相手に対して、友人とか家族とかの誰かが励ましたり、はっぱをかけたり、助言をしたりする。まあ普通そうだ。黙って見ているだけという人もいるかも知れないが。励ましたら逆ギレされるならいっそ黙っていた方がいいけど。
このセリフを言う人は常日頃、励ましてくる人間の環境が自分より恵まれていて、好きなことばっかり出来て、自由で羨ましい妬ましいことだ、と思っていたのである。自分より貧乏で努力が報われなくてつらい思いをしている、自分より下に見ている相手にはこの言葉は言わないと思う。言うとしたら「えらそうなことを言うな」「知ったふうな口をきくな」だろう。励ましたり助言をするというのは上の人がすることだという意識があるから。で、その妬ましい相手がこれ見よがしに助けてくれようなんていうのを、素直に聞けるわけがなく、拒否し払いのけるために例のセリフを言うのである。どちらにしてもしょっぱい。湿っぽい。
しかし、自分以外の誰かの気持ちなんかわかるわけがありません。たとえ同じ家に育ち同じように貧乏や理不尽な親などに耐え同じ環境で苦労したとしても、相手の気持ちはわからない。だから、このセリフを言われた人間は大概ショックに打ち震えて黙り込むけれども、フツーの顔で「当たり前だ」と言い返すのが妥当かと思います。「わからないけど、想像でお前の身になってみたり、経験上こうしたらうまくいったことがあるから、教えてあげただけだ。人の親切になんだその態度は」と続ければよいと思います。あんまりそういう展開は観たことがないけど。