GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

避難所の話

今回の台風にまつわるいろいろな話を、新聞やテレビやネットで見聞きしましたが

その中に、東京の某区の避難所に、2人のホームレスの人がやってきたそうで

住所を訊くと住所不定だという。

すると係員は、ここは区民のための避難所だから、入れることはできないと言って追い返したのだそうだ。

その話を聞いた時に、「あのころはフリードリヒがいた」という児童文学を思い出しました。

ご存知の方もいるだろうか。第二次世界大戦の頃のドイツでの話です。

すみません以下ネタバレです。

主人公は貧しいドイツ人の一家の息子、幼馴染みのフリードリヒは裕福なユダヤ人の一家。

仲良く楽しく暮らしていたけれども、次第にユダヤ人への迫害が始まる。フリードリヒの家も破壊され、両親も失う。

空襲の夜、避難所の中で震えている主人公たち。やっと辿り着いたフリードリヒが「助けて、入れてください」と言うのだけれども、監督係をやってるおやじは「ユダヤ人なんか入れてやらない」と言う。可哀想だから入れてやれと言う人も居るのだけれど、「だったらあんたを告発する」と言われて、皆引きさがる。フリードリヒの前で扉が閉められてしまう。

という、ラスト近くのシーンが、思い出されてならなかった。

そりゃあ、戦争で爆弾が降ってくるのと、ひどい台風とでは「入れてやらない」と言い渡すことの意味合いや重大さ、危険度は違うかも知れない。でも、そういった状況で「入れてやらない」と言えてしまう恐ろしさは、同じだと思う。

区民のための(ドイツ人のための)避難所だから、区民でない(ドイツ人でない)お前たちは入れてやらない。結果、お前が明日の朝運良く助かっているか、運悪く死んでいるか、どうなっているのかわからないが、どうなっていても自分は知らない。

後半部分は同じでしょ。「運悪く」のパーセントがそんなに高くないとかは関係ない。

普通の身なりの、隣の区の人間なんですけど、たまたまこっちに来ていて、雨で車が動かなくなってと言う人間には、ホームレスへに言ったのと同じ内容を言って追い返すんだろうか。どうなんだろう。

おそらく、追い返されたホームレスたちは、フリードリヒとは違って、翌朝も生きていたんだろうと思う。思いたい。でも、追い返した職員は、「生きていたんだろうから」と言って、また同じ業務に戻るんだろうか。

なんか、爆弾が降ってくる外へフリードリヒを追い出すところまで、遠いかも知れませんが、直線上で繋がっている気がするんですが。