GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

クィーンエメラルダス

松本零士の世界ものはいくつかアニメになっていますね。ハーロックが主役で何回か。999が中心で何回か。

考えてみるとエメラルダスをメインに据えた映像ってないなあ、と思っていたのですがOVAになっていたのね。今回観ました。

あんまり何回も「わたしはエメラルダス」て言うもんだから、「知ってる」と合いの手を入れてしまいました。

田島令子さんは相変わらず良い声なんですが、このOVAが作られた頃にはちょーっと声がおばさまになっていて、絵と合ってなかった。最初の999の頃の声はステキだった。あれはなんだっけな、テレビ版の999かな?病気で臥せっていてアンドロイドだかに影武者をやらせていたらそいつが反乱を起こして、だかの話の時に、そっと侵入してきた鉄郎に向かって「少年よ。女の部屋に入る時はノックをするものだ」みたいなことを言うのが、スマートでかっこよかった。

今回の話の声優さんはコバキヨさんだの機械伯爵だの緒方賢一だの、昭和のアニメを背負ってきたメンバー勢ぞろいでした。緒方賢一さんは声変わらないなあ、バカボンのパパの後輩の声や桔梗屋さんの声とまるきり同じ。どういうマジックなんだろう。

それで

アニメにしやすいマンガとそうでないマンガがあると思います。話の内容ではありません。絵柄のことです。

アニメにしやすいマンガは鳥山明が代表だと思います。均一の線で描かれたセル画のような絵。アニメの設定資料集にそのまま使えそうなパターン化されたキャラクターデザイン。決して悪口ではないよ。

で、しにくいマンガの代表は松本零士じゃないかなと思ったことがありました。ハーロックの船に乗ってるぶさいく連中や鉄郎、トチローの顔の微妙なライン。ちょっとずれると別人。描いた数だけ別の顔になりそうな。

大昔のテレビ版999ではやっぱり、回によって鉄郎がふくわらいみたいになってるし、メーテルも目と鼻の距離感がトレーダー分岐点なことがあります。でも、アニメ業界の腕は上がったねえ。「松本零士のあの絵」「石森章太郎のあの絵」あとうしおととらの最近のアニメなんか、よくもまあ原作そっくりの絵で動いてるなあと驚いた。本当に、今なら初期の夢幻紳士も動かせるのではないか。あと、原作に忠実な絵でゴージャス☆アイリンなんかも観たい。諸星大二郎ものも観たい。なによりも手塚治虫の原作そのままの絵で動くブラックジャックが観たい。

脱線しました。

OVAのストーリー自体は、孤独な少年が戦いの中で仲間を得、成長してゆく。それを時に見守り、導いてやるエメラルダス、といった感じ。他に考え付かないですね(笑)ところでエメラルダスの船ってなんであんなにでっかいんだ。何か事情あるんだっけ。

ハーロックとエメラルダスが共闘する話メインで観たいな。美男美女が戦友ってかっこいいしね。

名前を聞いただけで相手が震えあがるシチュエーション、いかすね!トチローと相思相愛なのは有名な話ですが、あなたが妊娠して出産したのかと思うと(そういう設定の話もある)うーむ、これは。銀河キャベツ畑とか、宇宙コウノトリが連れて来てくれたのだろうか。あなたの腹部なんて私のフトモモくらいしかあるまい。難産間違いなし。

あの、一歩間違えば笑ってしまうような長い脚、長い鼻、長い睫毛、なびく髪のボリューム。髪乾かすのに何時間かかるのか。そういった突っ込みポイントを全て圧する美学、かっこよさ。荒野に1人立つエメラルダスを宇宙船で殺そうと襲ってくる相手を目のアップで睨みつけ「卑怯者」と吐き捨てる声の冷たさにしびれた。

うん、とにかく、松本零士の世界は、美学の世界である。美学に反することをした奴はぶち抜かれて死ぬし、どんなに顔が悪くても、美学さえ胸にあればなんとかなるのである。それこそが一番大事。

そして松本零士の世界には、女は、美女とおばさんしか居ない。美女は全員同じ顔だし。この徹底ぶりはちょっと無い気がする。これだけ大成した漫画家が、女は美女かおばさんだけって、考えてみるとすごい。逆に考えれば、本当に描きたいものを描けるなら、それ以外の部分で小器用に描き分けなんか出来なくても成功するってことなんだろう。