お客さんの家で。
娘さん(2歳寸前くらい)がアソパソマソが大好き。子供は必ずといっていいほどアソパソマソ期があり、あの妙に老け顔の男を愛してやまない。さながらDIO様に惹かれる女どものように。
描いて!描いて!と言われ、お母さんはアソパソマソを描く。描く。
彼の顔の構成は円ばかりである。顔の輪郭、目、鼻、口、ほうれい線。それだけ。
しかしあの顔は絶妙なバランスの上に成り立っており、すぬーぴーやドラえもんほどではないでしょうが、描いたらまず絶対似ない。お母さんの絵も最初の頃はなんだろうこれ、であった。
しかし今週頭にお邪魔した際に拝見したところ、上手くなっていた。すごい。上達のあとが。
「お母さん、上手くなりましたね」と言ったら「必要に迫られて」とおっしゃっていた。いやあ本当に上手よ。ぴくしぶで発表したら。
そしてお父さんが作ったアソパソマソカーがあった。立体的に折った象を、摩擦係数を低くするためのビニール板の上に貼りつけ、リボンをくっつけて引っ張れるようにしてある。そして象の顔のところにアソパソマソの顔が貼りつけてある。
これは象だろうか。アソパソマソだろうか。なんか私が怖がってもしょうがないのだが妙に怖かった。
で、
お客さんの家で話をすると、奥さん方は大抵ご主人に対して不満がある。
「ほんとしょーがない人なんだから!」と軽く笑うようなのは不満ではなくて半分のろけである。そんなものを口にする人は居ない。
話していると皆さん、ことのほか胸の奥に、黒く圧縮された怒りを秘めておられる。
言ったところで直さないから言わないけど。
言うと余計に面倒くさいことになるから言わないけど。
切れ味のよい、冷たい刃物を振り回すように話す方。
冗談めかして言いながらもとめどなく流れ出すマグマのように延々と訴える方。
こん棒を振り回してあたりかまわず破壊するようにわめく方。
皆、それぞれです。
そして片方からの話から聞いていないのだから「世の亭主どもは皆ヒドイ」「男ってみんなそう」と断定することはしませんが
話を聞いた奥さん方で、努力していない人はひとりもいない。亭主の稼いできた金の上に横になってテレビを観ながら菓子を食って不満を並べている人は誰も居ません。皆、「私には無理そうだな」と思うくらいの大変さを背負って頑張っている。
マンガだと、そんなつらい思いもあの人と二人三脚なら頑張れる、な図式なのだけれども、現実はどうも、そうはいかないようです。
そしてその度に、この人はどうやって明日を頑張る糧を手にしているのだろう、と思う。
この奥さんが、ごくわずか許された私用の時間に、男の友情がはみ出した話を書いたり描いたりしてやる気を保っているとは思えないし…
もしそうなら、その大きさと威力には充分理解を示してあげられるのだが。
明日の夜は打鍵できそうである。出来る限り早く帰ってきて打とう。ふひひ←こういうふうに