自動車のナビゲーションシステム。私の車にもついてますし、あなたの車にもついているかも知れない。
この前どこかの場所を検索するのに、店の名前だかなんだかを入れました。
そうしたら、九州だの北陸だの、ここからどれだけ遠くなんだと思うような場所の同名の店を候補として上げてきました。
その時思った。このナビは、私が一生行かないような遠い遠い、そして気が遠くなるほど沢山の、三差路や、袋小路や、山に入って消えていく道や、ぽつんと建っている倉庫なんかを知っているのである。
その量をふと想像すると気が遠くなる。
ここから車で行くような距離でないはるかかなたに、これから目的地として向かう店と同じ名前の店があることを知っていて、そのことを時折そっと教えてよこすわけだ。
あなたは一生行かないかも知れないけど、同じ名前の店が、この空の向こうにあるんですよと。
ううむ気が遠くなる。
昔、TOKIOが鉄腕ダッシュで日本の海岸線をぐるーっと一周するというのをやっていて、わたしゃあれが大好きだったのですが
もしあの車にナビが搭載されていたら(多分されているんではないかと思いますが)ナビ冥利に尽きたろうなと思う。
こんなにも自分が持っている知識、日本の隅から隅までの地図を引き出してもらえて、活用してもらえて、すごく満足しただろう。ナビに生まれた甲斐があったと思っただろう。ナビとしての生を輝かせられただろう。
それを思うと、私はうちの車のナビに対し、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
そして。
この車とナビさえあれば、私は日本中のどこへでも行くことが出来るんだと思うと、ものすごく自由な気持ちになる。
お金とヒマがあったら、私は日本中を旅できるわけよ。すごいと思いませんか。
ずぅーっと車とふたりで、日本中を旅して、行く先々の美味しいものを食べ美味しいガソリンをのみ、海辺の道を走りながら温かい雨に降られ、みぞれの中ゆっくりと走って温泉について、ガソリンスタンドできれいにしてもらって、そしてまた快晴の空の下旅に出る。
涙が出るね。
お金もヒマもない私は明日も仕事である。
今のスタッフメンバーは個人的にとてもやりやすく楽しい仕事が出来るのですが、来年は解体することがハッキリしています。残念ですし寂しいですが仕方がない。さよならだけが人生である。