GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

はるか17

リアルタイムでモーニング連載時読んでいました。

宮前遥は22歳の大学4年生で、なんとか就職しなくちゃと焦っている。頭はよく性格は生真面目で一生懸命だけど黒縁メガネかけてて地味で面白みや華やかさに欠け、受けても受けても面接で落とされる。小さな小さな芸能プロダクションの事務だか総務だかを受けに行くんだけど、面接する側は勘違いしていてタレントとして受けに来たんだと思う。で、「この子地味なんだけど何か光るものがある」と見抜いた社長さんに「うちのタレントにならないか」と言われる。本人は最初は冗談じゃない絶対イヤ、と断るんだけどまあ言いくるめられ、ただデビューが22歳ってBBAすぎるので猛烈なサバを読んで17歳ということにしてデビューする。半分騙されるようにして水着オーディションに行ってみたり助平ジジイのプロデューサーと衝突したりしながら、徐々に「面白い」と思うようになり、同時に自分の中の甘さや腰かけ根性なんかに気づかされ、いつしか性根を据えて芸能人になろうと思うようになってゆく。

彼女の才能を見抜いた社長さんもこれまでいろいろあって、そのしがらみのせいで遥(芸名はひらがなではるか)の道が狭まったり危険な目に遭ったりあれこれ。ライバルだの恋人だのも現れてくる。

という感じの話です。全…えーと、19巻だって。結構長い。

主人公の性格は特に突飛ではなく、どちらかというとオーソドックスなタイプだと思います。北島マヤほど演劇オタクではなく、北島マヤほど神がかった才能はない。まあ、現実的なキャラです。彼女一人の性格や才能でというよりは、彼女の持ち前の一生懸命さとひたむきさを見ているうちに周囲のスタッフも共に成長していくとか、新しい出会いによって彼女が更に成長していくといった感じですね。

はるかのライバルとして登場したサラブレッドの子がいまして、両親が歌舞伎役者と女優だったか。才能がありあまっていて、はるかが落ちたオーディションを射止めた。性格はあっけらかんとしていて、悪気はないのだが善悪とか道義的とかそのあたりを考えない。この子が、はるかの恋人である男性タレントを気に入って、体当たりで奪ってしまう。ちょっと前までなら男女が逆だよなと思うような設定でございます。

この、男を奪い取るあたりがなんだか私的に非常ーに生々しく、なんでなのかわからないほどダメージを受けました。未だに覚えているほど。特にその男性タレントを好もしく思っていたわけじゃないし、はるかとお似合い!アツアツ!と見守っていたわけでもないんですがね。

そしてその男性タレントも、それこそ一時代前の小娘みたいに、自分の意思や意識が希薄で、迫られて困ってしまってはるかに連絡取ろうとするんだがはるかはちょうど熱心に取り組んでいる芸能活動のために電話に出られない。出られるようになった時にはもうアレをしちゃった後であったという体たらく。なんでこの男は、はるかのことが好きなのに、魅力的な娘に迫られただけでフラフラとアレをしてしまうのであろうかという辺りのやるせなさが手伝って非常にモヤモヤした。とにかく「人のものを、奪い取る」一連において、このマンガのあそこら辺は私にとって一番か二番に生々しい。未だに破られていません。

結局このふらふら男ははるかのところへ戻ってくるのですが、さっぱり良かったなと思えなかったっけ。もっといい男がいるんでないかいはるかちゃん。

このマンガは「まだまだこれからだ!はるかはこれからも頑張るよ!」な感じで終わって、まあ一番ふさわしい終わり方だと思いますが、全体にきれいにまとまっていて、回収されないままの伏線などもなく、すっきりした読後感でした。さすがに19巻大人買いしてもう一度読もうとは思えないのですが、また読みたいとは思う。

この作家さんはこの後なんか正直迷走して、連載を始めては終え、始めては終えを続けていましたが、ドラマ化もされた「サイレーン」というサスペンスものが当たりました。よかったね。

目の表情と、手の描き方が清潔感があって好きです。

打鍵している。月末だというのに。

もうちょっと。