GRJ日記

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天沢退二郎

あなたは天沢退二郎という人を知っているだろうか。

詩人で児童文学者でフランス文学者で翻訳家で他にもいろいろだそうですが、私にとってはとにかく「ものすごい、児童文学者」でございます。

とにかく、この方の描かれる「不吉な」「まがまがしい」「災い」「死の翳」なものが本当にすごい。読んでいて本気で怯える。それが、血がドバー、首がちぎれてギャー、なんてのでは表せない怖さなのです。言霊とはこういう文章がもつものなんだろうと思う。

そして怖くもありますが大変に魅力的な世界が広がっている。水溜りに映るそこに裏の世界があって、そこから溢れ出してくる黒い人影。読んでいて頭の中に浮かんだ映像を、なんじゅうねんも経った今でもはっきりと覚えている。

大人になってから「杉の梢に灯がともるとき」という話を、何かのアンソロジーで読んだのですが、これがまた怖かった。全部読んでも、起こっていること、出てくる人々が何なのか、何を言っているのか等々の意味がわからないままなのですが、だからといってそれで足りないとか不備というのでない。これはこう書くしかないのだろうという気がする。そして主人公は名前をなくしているのだけれども、最後に思い出して敵に向かって告げる。そのあと、数行の改行があって、

   私はその名前をここに書くことが出来ない。もし書き記せば、この物語は消滅し、読んでいるあなたがたも消滅する。

それを読んだ時の恐ろしさよ。あれ、怖くない?怖くなかったら私の説明が悪いからです。

機会があったらぜひ読んで、恐怖に震えていただきたい。何度も言うが血がドバーが持たない威力の、一級品の恐怖を堪能していただけることと存じます。

今日は打ったわー。スッキリしました。もうすぐ終わるわ。

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