GRJ日記

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血煙の五エ門観てきた

ネタバレまくりです。

「まさに石川五エ門」という姿でありました。原作初期や、旧アニメ版の五エ門。抜き身のような、収まる鞘のない男。剣一筋、故にその剣で完膚なきまでに叩きのめされるともはや生き永らえることも出来ない。あの修行の数々が本当に、「修行のポーズ」でなく、死ぬ寸前まで自分を追いつめることで、鉞の一撃をかいくぐって相手を斬る道筋を探すための手段になっていました。まさかりってこう書くのね…鉞ね。

今回の敵は本当に不気味だった。もしかしたら何をしても死なないんじゃないかと思わせるようなタフさ。誰なのか巨大な権力をもった人間の手先になっていて(最後までそれが何者なのかわからない)、ターゲットを執拗に狙うその執念深さ。全く関係ない人から見ると健啖家で気のいいおじさんにしか見えない。でも、決してそうではないのがじわじわとあちこちからにじみ出てくる怖さ。相手を殺すことを「剪定」「伐採」「土に返す」のような言い方をするところ。今まで出てきた、銃や刀などを振り回す「非情な」敵とは、一線を画す怖さをもっていました。

あの、二度目に遭遇して五エ門を吹っ飛ばした姿は本当に、五エ門が、敗北のイメージを植え付けられて、それを撥ね返せないのも無理はないと思わせるものでした。もしかしたら、ルパンなら勝てるのかも知れないけど、多分騙し討ちとかね。でも、ああいう形で負けた五エ門が、自力で勝たなければもはや死んだのと同じだということを、ルパンがわかっていて、ゆえに手を貸さないというのは、大変納得がいき、またそれをわかっていて感謝する五エ門なのが、観ていて嬉しかった。木が貫通しているルパンの腕痛そうだったな…

痛そうと言えば。

あれです。「痛そうなのは苦手」という方は、この映画は観ない方が宜しい。久々に、アニメを観ていて、「ヒィー!」という思いをしました。あんな痛そうなシーン、よく考え付いたな。腕を大根みたいにぶった切るのならまだ、ありますが、あれはもうたまらない。思い出すとぞわぞわする。大昔の漫画で「狼少女ラン」というのがあって、主人公の女の子が敵に捕まって、ナタの類の刃物で切られるシーンがあり、トラウマもののコマだったのですが(確か夢だったのかな?)あれのひどい版です。何を言ってるのかわからないかも知れませんが。手当をして治るような怪我ではないよ。五エ門はもう刀を捨てる気なのかなと思ったよわたしゃ。ケガしたあと普通に刀持ってたけどさ。変だろう。一切なにも出来ないよあんなケガしたら。ひょっとしたら死んでるようなケガだよ。

最後、敵に「自分が首を斬られた」「斬られてもおかしくなかった」という十分なイメージを見せて、戦いを収めるというのは、納得がいきました。てっきり私も首を斬りおとして、ようやく相手を止めてやるのかなと思ったんですがね。でも、最後の五エ門の小理屈みたいなセリフは要らなかったんではないかなと思いました。人によって違うと思いますが。

銭形がすごくかっこよかった。今回は公安ですか。プロで職業人で男で警察官で、とても素敵だった。ルパンやホークとの関係も大変よろしかった。銭形が良ければ大体良いんですね。銭形を良く描けるということはルパンが良いということで、つまり全体が良いってことだ。

動きはとにかくよかった。出てくる人物、顔に傷のあるヤクザの幹部や手下ども全員良かった。惚れ惚れした。五エ門がヤクザの二代目以外全員斬り殺すシーンすごかった。初代、五エ門に入れ込み過ぎててなあ。五エ門五エ門うるさい。あれで皆腹立てたよね。もうちょっと古参の部下を立ててやりなさいよ。痛めつけられて弱ってる五エ門の身体つき、手首とか肘から先が華奢にすら見えるのがなんとも言えない。色白だしパイロット版みたいに色黒でもよかったのに(笑)ラストの、銭形とやりあう姿が「吹っ切れた」感満載で清々しかった。でも、治るのかあのケガ。箸も持てないようなケガだと思うんだが。しつこいけどホントに。

コバキヨさん。警察24時のナレーションなんかは特になんとも思わないんだけど、次元の役はちょっと正直、老けたなあと思わざるを得ない。聞いててしんどかった。チンピラヤクザの方が余程はつらつと聞こえるんだもの。

大変とても非常にいかすルパン作品でした。スクリーンで観られて良かった。