GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

魔界転生

もう今までに何回も言ってるんですが、まとめて言ってない気がするんで。

魔界転生はもう大好きでね、一番最初にこの作品を知ったのはケンイシカワ先生の漫画でした。初めて読んだ時はもう、ショック受けてしばらく呆然でしたが、その後原作読んでいよいよショック受けて、最後のあの余韻というかなんというか、山田風太郎先生の描く「戦いの後の虚無、戦って戦って戦った者だけが持つ無常さ、虚無感」というのが本当にたまらなく、読後はしばらく無口になりました。ケンイシカワ先生の虚無漫画の寂しさ、ゲッターとか弥勒とかのあの清々しく限りない寂しさって、山田風太郎先生の作品と通じるところもありますね。

そしてジュリーが天草四郎をやった映画ね。これもまあ、驚くばかりの配役で、わかやまとみさぶろうのチャンバラのすごいことすごいこと。緒方拳もすごいが無論のこと千葉ちゃんもすごくて、一騎打ちのシーンはまあどれもこれもご褒美タイムです。そして地味に丹波哲郎がかっこいい。あの人の、「神と遭っては神を斬り、魔物と遭っては魔物を斬る。これぞ村正でございます」ってセリフにはもうぞくぞくしました。ジュリーもすごくよかった、ジュリー以外にあれをやれる人はおるまい。

他にもケン月影先生の劇画とか、最近になってからの映画とか、渡辺ひろゆきだかがやったVシネとか、ものすごく中途半端なアニメとかもあるんですが、私にとっての魔界転生といったらこの三つなんです。考えてみるとストーリーが全然違うんですよ。ここまで原作をいじってるのに、どれも傑作。それはいじる方の力量もあるでしょうし、いじられる原作の懐のデカさ、深さもあるんだと思う。どの点に重点を置いてこの作品を描くかによって、違う方向へそれぞれ突き進んでいくんだけど、どれも全部原作が抱えこんで「好きに描いてみろ!」と言う感じ。

そしてどれも、「結局は人間は限られた短い短い時間を生きるしかないんだけど、永劫の命を手に入れたからって幸福になるわけではない。いかに生きるかということなのだ」という考えでは共通している。私もね、永遠の命を手に入れて、それでもって優しく頼もしくステキに生きていくなんて、神様だよ。人間には絶対無理だと思う。人間が永遠の命なんか手に入れちゃったら、暴君とか狂人になるしかないよ。と思います。そう思いませんか。

とにかく、原作がもう、本当に良いので、ぜひぜひ読んでいただきたい。最後の十兵衛の孤独もですが、彼に惚れる敵の女、十兵衛の十人の手下たち、もう涙なしには読めないよ。どっかの学校の読書感想文の課題図書に指定せんかなあ。子供らの心の目が開くと思うんだが。忘れられない夏休みになると思うよ。

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