本日2回目の日記です。
下のお返事で言ったのですが、ジョジョの話を先日アップしまして、入れる場所がないのでカットした部分が残っていたので、なんとなく載せてみます。
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花京院典明はエジプトに旅行に来ている時、謎の男に遭遇した。DIOというその男は、年の頃二十代、白人で背は高く顔はかっこいいのだが、それらをぶち壊しにする威力で、ものすごいファッションセンスだ。しかし妙な魅力と威厳があり、何よりも花京院が今まで自分以外誰も持っていないと思っていた影を彼も持っていた。
雄々しい金色の戦士を出現させてみせ、
「これは幽波紋というのだ。君は生まれついてこういうものを持っているだろう」
にこりと笑って、
「わたしは最近になってとある方法で得た。知らないことも多い。わたしの傍にいていろいろと教えてくれないか」
「幽波紋の先輩としてですか」
「先輩としてだ」
そう言ってから声を出して笑った。言葉の選択が面白かったのだろう。
素で笑っている相手を眺めて、花京院は「少し変わった人だが、悪い人ではなさそうだな」と思った。
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DIOが廊下に首を出して、「テレンス!アイス!誰かいるか」と怒鳴った。
即座にシュゴーという音とガオンガオンという音が近づいて来たと思うと、ひときわでかいガオンの後ドアが丸く切り取られ、その穴から2人の男がほぼ同時に現れ、うやうやしく頭を下げて、同時に『お呼びでございますかDIO様』と言った。
「出かける。どちらでもいい。伴をせよ」
「わ」
「たくしが」
大きく聴こえたのはヴァニラアイスの声だった。長い髪と太ももが印象的な男だ。ハートの意気込みも配下の中で抜きんでていて、自他ともに認めるナンバーワンの側近だ。
テレンスと呼ばれた男は無表情なまま、チラリと隣の男を見遣ったが、すぐに目を伏せた。敢えて張り合う気はないらしい。
「うむ。ではついてこい、アイス」
「かしこまりました」
肩をいからせ胸を張り、誇らしげにDIOの傍へいそいそと寄り添って、
「DIO様、これを」
いつの間に用意したのかDIOの服を手にしている。この時刻に呼ばれたという時点で、咄嗟に持ってきたのだろう。
「準備の良いことだな」
「いえ」
いえと言いつつ嬉しそうだ。頬が上気している。嬉々としてDIOにひまわり色の服を着せかけ、お気に入りのマントを羽織らせ、とやっている。
「よし。では行こう」
「はいDIO様」
その時、「あ」と花京院が言って、窓を離れ、
「途中まで僕も一緒に行きます」
「何故だ」
鏡で襟の具合を見ながらDIOが訊き返した。
「ホテルにポータブルゲーム機を置いてきたので取ってきます」
それを聞いてヴァニラアイスは「けっ。子供が」という表情で嗤い、DIOは「ほう」と言って曖昧に苦笑した。正直、何を言っているのかよくわからないかららしい。
「では留守を頼むぞテレンス」
「かしこまりました。行ってらっしゃいませ」
深々と頭を下げるテレンスの前をDIO、ヴァニラアイス、それから花京院がぞろぞろと出ていった。出て行く間際、テレンスに、
「かなり難しいレースゲームと、ちょっとクセのある格闘ゲームと、ものすごく怖いホラーゲームがあるので持ってきます」
そう言うと相手は複雑な顔をした。