GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

『死刑執行中 脱獄進行中』の舞台

観てきました。

超満員だった。全部埋まっている客席ってなかなか見るものではない。壮観だ。

で…

この舞台を、「原作(アラキ先生)が好きなので」観にきた人間は、どうしてもストーリーを追おうとするし、「どういう具合にドルチと混ざってるんだ?」「この人間があの役だとすると…アレレ?」みたいなふうになりますが

この作品は、原作を舞台化したものではなく、原作を取っ掛かりとして展開してゆくパフォーマンスと言った方がいいと思います。主人公と藍色のうずまき人間とのくねくね合戦が全体の8割を占めていましたが、それ自体はとても良く鍛え上げられていたし、布や枠と人体を使っての舞台設定やさまざまな表現は見ごたえがありました。赤いドレスの女は主人公に殺された女であって、また彼の罪の象徴であるのかなと思いました。藍色のうずまき人間たちは彼を捕らえ閉じ込める力の代弁というか。「どんなに逃げようとしても絶対に逃げられない、逃げたと思った先にまた檻がある」感じはよく伝わってきました

でもやっぱ序盤の、とある閉鎖空間でイライラしている男、次第次第に「なんだかこの部屋、変だ」になっていく部分が、煽っていく音楽とあいまってすごくサスペンスフルだったので、ああいう感じを見ていきたかったなと思ってしまいました。逆に今回の舞台のように作っていくのであれば、ところどころの原作まんまのセリフはむしろ要らなかったんでは。最後の有名な「天気のいい日には外に出てみようかと」云々があって、おっ何か変わるのかと思ったらその後またもや延々とくねくね合戦だった。あの舞台を観て来ただけでは「一見、自由の世界が壁にあいた穴の向こうに広がっている」のは伝わらないから、カットした方が良かったんではないかしら

そういえばその序盤の感じ、スタンドが見えない一般人がスタンドに襲われたらこんな感じかなと思いました。

それと布や枠を演技力でもっていろんなものに見立てるというの、北島マヤの一人舞台の「女海賊ビアンカ」を思い出した(笑)北島マヤなら漂流する船も奇怪な牢獄もお手の物だ。客席みんなで「うっ!」と言いながら目をこすって「い、今…ここが独房に見えたぞ」とか言い合うことだろう

この舞台は原作ファンより、もりやまみらいファンの方が純粋に楽しめるかも知れませんね。ナイスくねくね。

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