と、アウトレイジビヨンドと両方観ました。
よく見かける「痛すぎて観てられない」「殺され方が酷すぎて観てられない」「人がバンバン死ぬだけ」などの感想はよくわかりますが、私は面白かったです。
「全員悪人」がキャッチコピーで、確かに悪人しか出て来なかった。そして同じ悪人と言っても頭のいいのから悪いのまで、うまく流れに乗れるのから乗れないのまで、裏切るのと裏切られるのといろんなタイプの悪人が出てきました。悪人の品評会。なかおあきらからかせりょうまで。みうらともかずからこひなたまで。それぞれ、自分の悪っぷりを頑張って表現していたと思う。変に「奥底には良いところもある人」みたいな方向に行かないのは良かった。
ビートたけしはもうすっかり大御所クラスになってしまっているし、正直いい歳だから、映画内で中間管理職的な立場に居て上の親分に理不尽な言い付けをされて悔しく思いながらも「はい」と答え、手下どもを使って仕事を遂行する、というのが最初は似合わなく感じました。でも映画を観ていてピラミッド式の階級社会の中でこの辺りに位置してそれなりにやりながらここまで来た小さな組の頭、というのが納得いってからはそんなに違和感はなくなった。あの組の組員たち、まあ裏切者も居ましたが、あの組で「親分を盛り立てていこうぜ」「他の組に舐められないようにしねえとな」やって、それぞれの得意分野で働いていた頃は楽しかったんだろうなと想像できるような組であった。しいなきっぺいとの会話をもっと聞きたかったです。
考えてみると見ていてちびりそうになるところは結構たけしがやってるんだよね。ドリル関係とかピッチングマシンとか。いしばしれんじェ…
そして思ったのですが、その人間がヤクザになれるかなれないかは、案外簡単で、たけしがやったようなことを平然とやれるかどうかで分けられる気がする。やれない人は、どこまでいってもチンピラである意味まともで、やれる人はたとえ堅気の職業でもなんでも、そっちの人で。
あらいひろふみ良かったな。やっぱり輝く人は初期だろうと無名時代だろうと輝いてますな。
途中までいくともう、「こいつ死ぬな」が段々わかってきて、一体今誰が生き残っているんだかわからなくなります。でもビヨンドの方の最後はびっくりしたなあ。誰が死んでもこいつは死なないんだろうなと思っていたら。
最後のシーンの後が描かれていないのは、いいな、と思いました。そりゃどれだけごたごたするのかは想像に難くないけど、たとえどれだけのごたごた量であろうとそこは各自が勝手に想像すればいい範囲なのだ。なんでもかんでも決着つけて説明しまくればいいってもんではない。ちなみに、そういう描き方で私が今までで一番気に入っているのはふじさわしゅうへい原作の「山桜」です。なんでここで終わりなの、と怒ってる人がいっぱいいたけど、私は「よくぞここで終わりにした」と握り拳を握ったね。あのラストだけで監督さん（誰か知らないけど）すごいと思うよ。
逆に「なんでそんな所まで」と怒り心頭だったのはきむ・たくじろう主演の「武士の一分」ね。これもふじさわしゅうへい原作ですが。
ラスト10分間全部削れ！なんであんなことまでセリフで喋らせる！きー！思い出すと頭をかきむしりたくなる（笑）「下女をここへ呼んできてくれ」「へえ」で終わりでいいんだよーっ！
脱線してどうもすみません。
ヤクザの世界については、考えてみると実際には何も知らず、それこそ映画とかドラマとか漫画で描かれている雰囲気しか知りません。ヤクザの恐ろしさをナマで知らないで生きてこられたことを幸せだと思わねばなるまい。で、この作品の中で怒鳴り合うヤクザたちが「ふざけてんじゃねえぞバカヤロー」「ふざけてんのはどっちだコノヤロー」「がたがた抜かすとぶっ殺すぞバカヤロー」「やれるもんならやってみろコノヤロー」を延々重ね掛けしているのは、まあ、これはお話です、一種のヤクザコントです、という事なのかしら。あの取調室でのやりとりなんかもう観ていて大笑いしたもんね。
たけしさんは多分、演技力はそんなに無いんだろうと思う。滑舌は悪いし。でも、独特の雰囲気があって、なんか、観てしまうね。あと、自分の好きなように、撮りたい映画を撮ってるのはいいなと思います。売れるのを撮ってお金入ってきて、売れないけど撮りたい映画を撮る。総スカンくっても平気。俺が稼いだ金で俺が撮りたい映画を撮ってなにが悪い。精神強いなあーと思う。
前回の日記に一杯拍手してもらって嬉しいです…どの部分に対する拍手だったのだろうか。コブクロの流星が好きな人がいっぱいいたのか、ジョジョをアップしたことへの労いか、次にクーガをやることへの激励か。どれだろう。
どれでもいいです～拍手して下さってありがとうございます！
