GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

蒼き流星

レイズナーというアニメを観ました。全38回。放映したのは1985年。

時は1996年、人類は既に火星や月に基地を構えるようになっていたが、未だに米ソの冷戦は続いていた。この一文だけで「うわあー」と思いますね。いろんな意味でね。

そんな中、グラドス星人という宇宙人が地球を狙ってやってきて、地球人同士の小競り合いを利用して地球を征服しようと企む。そんなことは全く知らないで火星に林間学校にやってきた子供らが、まさにグラドス星からの攻撃第一波にさらされ、わけもわからず逃げまどい、幾人も瓦礫の下敷きになり、脱出口のむこうに取り残されていく。もうだめか、というところに突然、見知らぬ戦闘メカに乗ったひとりの青年が現れ、皆を助けてくれる。彼はなんと地球人とグラドス人の混血で、たった一人グラドスの計画を地球人に伝えるためにやってきたのだ。彼の名は栄治。違う。エイジね。レイズナーとは彼が乗っている戦闘メカの名前で、追い詰められると超高速で移動するシステムを搭載している。

で、途中何度も地球側の人間に危機を知らせて助けてもらおうとするんだけど、もうはなっから『宇宙人?気は確かか』からの『今それどころじゃない。あっ新型メカなら調べて没収しよう』ばかり。そのパターンがイヤという程繰り返されるのは多分狙ってのことです。地球人って、大人って、こういう考えに凝り固まってるんだよという。

子供たちも最初は、同室の子が死んだせいで激怒している奴が「この敵野郎、てめえのせいだ」に凝り固まって個人的にリンチしているのを他の2人は黙って見ている、いざ戦闘になれば主人公だけが戦い、必死で皆を庇ってくれるんだけど、そのことに感謝もしないし「お前に助けられるのなんてごめんだ」さえ言う。それが幾度か戦闘になり、彼なりの誠実さや懸命さ、純粋に地球に憧れていて地球を助けたくてやってきたのだということが徐々にわかってきて、他の連中もおぼつかないながらも戦闘の補助をするようになる。その打ち解ける速度が納得のいく遅さで、良かったです。一度や二度助けられたからってホイホイ仲良しにはならん。

そして主人公はなんというか、かたくななまでに、人を殺したくないという気持ちを持っている。敵との命懸けの戦いでさえも、機体にダメージを与えてパイロットに緊急脱出させる戦術を取っている。そのところを敵に突かれて危機一髪になってるし。1回死にっぱぐってるのに2回目も「いやだ!僕は人を殺したくない!」こっちが観ていてもうイライラしてくるほど徹底している。まあこれを見てイライラする日本の子供が問題なんでしょうし(笑)純粋な正義というのは時に邪悪につけこまれる、しかし最後は勝つのだ、という描写なのでしょう

で、そういう主人公のことを、いつしか周囲の子供らが助けてくれるまでになり、ある時を境に彼を「栄治」と名で呼ぶ。違う。エイジ。その場面はちょっと感動したな。

女の子が2人とも主人公のことが好きになり、素直に言う方に言えない方が嫉妬したりもするが、2人同士はお互いの気持ちがわかるので仲良し。1人、ぐずぐず言い訳して絶対に戦闘には出て行かないで隠れてる奴がいるけど、別に仲間外れにしたりなじったりはしない。ここら辺の呼吸というか、「普通はこうなる」という型にはまってない感じがいいです。

そして戦闘メカに搭載されているコンピューターが、主人公に向かってきわめて機械的な音声と喋り口調でこのままだと危ない、被ダメこのくらい、と教えてよこす。そしてこっちからの命令に対して無表情に「ready」と言い返す。あれにもハマりました。

尊敬してる先輩が姉の恋人とか人間関係もなかなか凝っているし、なによりも最初に地球人とグラドス人の混血と聞いた時に「いくら昔の子供向けSFと言ったって無理だろ、染色体融通ききすぎ」「それが可能なら人間とナスの子供だって出来るわ」と思った問題がちゃんと解決されてる辺りもニクイ。というわけで、観ていて惹きつけられるパーツが沢山あり、次の回が見たくなる良作だったのですが…

後半がね???

前半最後でグラドスと少年たちの最終決戦になり、どうなったのかと思いきや3年後に飛んで、地球はグラドスに制圧され、地球人はすっかり奴隷扱いで、こっそり地球の本を読んだりしていると捕まって処刑される。前半で出てきた子供たちはゲリラ活動をしたり、グラドスに寝返ったりそれぞれ。ざっくり言うと後半はグラドス対ゲリラ少年たちの戦いで終始し、なんと打ち切りのため最終回には思い出話をして終わるという。その後OVAが出て補完したそうですが観てません

後半はキャラデザインや世界観や新入りの敵がとにかく北斗のコブシそっくりで、あまりにもそれが強すぎて作品の軸がぶれていた。なにしろ主人公、トンファー振り回して戦うんだよ。SFどこ行った。

そしてとにかく一番の問題が、地球の核ミサイルすら一蹴してしまえる科学力軍事力を持ったグラドス星と、せいぜい最新型のメカ1台と旧型2台と数人の子供が、何をどうすれば互角に戦えるのか。いや、戦える筈がない。という疑問に対する答えがないです。前半最後の回で地球代表だかアメリカ大統領だかが「君たちに頼むしかないのだ」とか言ってたけど、いや、ちょっ…相手は宇宙にソーラレイシステムみたいなの浮かべちゃってるんだよ。じゅって音がして終わりだよ。

せめて、全ての敵メカは無人でオートで動いていてそのコントローラーである母艦さえ沈めればいいとかの理屈があればまだねえ。いっそ前半だけでやめておいて、最後の決戦のあたりを丁寧に作れば、結構良品だと思うんだけどね。

その主人公のことを好いてる娘がナレーターなんですけど、本当にリンちゃんみたいな可憐な声でつっかえつっかえポエジーなことを延々と訴えるのです。当時のOUTとかファンロードとかでギャグになってたのかなあ。なってそうだけど。

打鍵しています。

どうもあっしは吾郎さんを過酷な状況に陥れてしまう傾向がある。すまん。先生はねえ…どんなひどい目に遭ってもつらそうでないんだけどね。ゴキのような耐久力を誇る先生。

花京院典明は、自分のこの『法皇の緑』を見る時」云々、をあのナレーターさんが言うのかなあ。想像してはちょっと笑うような、やっぱり泣きたいような気持になるわ

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