GRJ日記

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ギャラリーフェイク

今日は

ギャラリーフェイク

最近、20巻くらいまで読んだ。目下いれこみ中なので話が長くなります。

細野不二彦さんがスピリッツに連載した漫画。基本、1話完結です。

主人公の藤田玲司はかつてはニューヨークメトロポリタン美術館学芸員まで勤めた男だが、今は贋作を扱うインチキ美術商。裏社会にも知り合いが多く、権威の側からは軽蔑され嫌われている。しかし彼は真贋を見抜く目や劣化した美術品を修復する腕は超一流で、また美を見極めることのできる相手には親切でモネの真作を5万円で売ってやったりもする。

億からの金を一日で動かすような生活をしているけれども、自宅はボロボロのアパートだし、体力はなくてすぐにバテるし腰痛持ちで、好きな食べ物はカニ

この漫画はよく「ブラックジャックの美術版」という表現がされています。確かに似ている箇所がたくさんある。大金をふっかけて相手が「足下をみやがって」と怒るシーンとか、なんだかんだ言って藤田が貧乏くじを引いて悪者になって丸く収まるとか。ついでに口癖も「~~ですぜ」だし。

ブラックジャックよりも表面的にはもっと似ている「ゼロ」という美術ウンチク漫画があります。これも孤高の贋作師…ではないのか、あくまで本物を作ると言ってるからな。まあその、本物と言えるほどの贋作が作れる男が居て、決めゼリフは「本物はひとつでいい」。吹き出しの中ウンチクウンチクチクチクで時々アクションがあったり、主人公が相手によって親切だったり非情だったりという所も同じだし、なんたって主人公がオールバックで白スーツである。とても似ていると言ってもよかろう。

でも、絶対に、ゼロではなくてブラックジャックに近いと言える。それはなにかというと絵の色気です。ひいてはキャラクターの色気。

同じものを見て、それに色気を感じるか否かは人によって違いますからあくまで私にとっては、に限定しますが、

整っている度、ハンサム度はゼロの方が上です。藤田は多分、あの漫画世界の中においてもそう絶世の美男子ではないのだと思う。1、2巻のあたりは特に、まだキャラが固まっていない事に加えて、藤田の拘りとか鬱屈とか世に逆らってる度数を表すためか、あるいはサラという娘と出会っていないためか、完全に「奇異な」「奇怪な」雰囲気をもった男に描かれていたし。

キャラが固まってきて、ほどほどのハンサムに落ち着いてきてからも、藤田は(というか細野さんの絵は)どこか不安定で、心情が激したり沈んだりすることに連れていびつになる。ハンサムの範疇をはみ出す。そういうことはゼロでは絶対にないのね。

でも、藤田は圧倒的に、猛烈にセクシーなのです。ブラックジャックがそうであるようにです。ゼロにそういうものは感じない。しつこいですが「私は」です。ごめんね。

サラという娘が途中で出てきます。藤田に助けられ、以来押し掛け秘書として働いている、中近東の国の王族の娘。肌が黒くて日本語がカタコトで普段は子供っぽくミーハーで、いざとなるとものすごい行動力を発揮しなおかつ純粋で純真で藤田のことが大好き。右手に火傷のあとがあることにコンプレックスを持っている。

言うなればピノコが大人になった姿というところなのでしょう。カタコトとか、ややあざといとは思いますが、やっぱ可愛いんだ彼女が。

彼女から藤田への恋心がらみの話が、今まで読んだ中に数回出てきますが、いつもつれなくて彼女をまるきり子供扱いしている藤田が、彼女のひたむきさに打たれる辺りや、彼女を失いたくないと気付く辺り、読んでいてときめいたねえ。久々に漫画読んでて紙面に対して照れたわい。

あと、戦場カメラマンの幻のネガを手に入れてひともうけしようとする藤田にサラが「ワタシの両親を殺した戦争はキライ。でも戦争をビジネスの材料にするフジタはもっとキライ」と泣いて絶叫し、愕然とした藤田が彼女を後ろから抱きしめて謝るシーンも好きでした。

誰かに言われたように、不浄で呪いに満ちたものの中に浸かっている藤田にとって、サラはその中から引き上げてくれる光なんであろうな。

今の話のように、藤田は時々、ずるく立ち回って利益を上げたり、腹立たしい相手を必要以上に陥れたりする。主人公に許される黒さをはみ出した行動をとることもある。あと、敵にこてんぱんにやられたりもする。中でもお地蔵さんみたいな顔のおっさんには何度も煮え湯を飲まされている。でも、藤田の黒い顔や、負けて屈辱に震える顔が人間くさくてとてもイイです。

とにかく色っぽいのよ~こればっかりですが。これはがんばって身につけるものではないからなあ。女のハダカを描けばセクシーか、というと違うじゃないですか(例:ゴルゴ13のお相手)

でも一度戦った相手と、別の機会に不本意ながらも協力しあったりする話もあって、それもまたイイ。とにかくキャラクターがしっかり作られているからでしょう。

藤田がね、体力がなくてケンカも弱いのがいいんだよね。これ、殴りあいで軽く相手をのしちゃってはダメなんだと思うよ。あくまで頭脳と知識、そして舌先三寸。どこかの誰かみたいだな。

続きの十数冊を読むのが楽しみです。

拍手して下さった方、ありがとうございます!

> Bさま

わはは!ウケて嬉しいです。想像すると笑えるでしょうパヤオによる少佐画。むっちり逆三角形の体型で歩き方がトコトコしてる。戦闘機に乗って敵と戦うシーンなんてイイなあ、観たい。

くわえタバコで「用意!(撃)てーっ!」ドーン

またなんでも一言下さいね。