今日は
「ああ播磨灘」
さだやす圭氏がモーニングに連載した相撲漫画。
これまた最後まで読んでないし途中も抜けている。でも、引き込まれて夢中で読んでしまうとか続きが気になってどうしようもないという点ではやはり好きな漫画です。
播磨灘という相撲取りがいまして、これがまあ朝青龍もおろかというヒール。土俵入りする時にヘンーな仮面というか、煙とか吹いてるかぶりものをかぶって入場してくる。そしてとてつもなく強い。対戦相手を片っ端から土俵下に投げ飛ばしたりカエルみたいにひっくり返したり挙げ句蹴って転がしたり、侮辱的なことばかりした上に罵声を浴びせる。品格なんかハナクソほどもない。相撲協会や同じ相撲取りからは蛇蠍のごとく嫌われ、憎まれている。なんとか辞めさせたいと思っている。そんな中播磨灘は「負けたら引退する」と言うのですね。だもんだから皆必死で勝とうとするんだけど、絶対に負けない。
対戦相手によっては故障を抱えていたり、これで引退をかけるとか、いろいろ複雑な事情があったりするのだが、播磨灘はまあ容赦しない。「そんなつまらない相撲を取って恥ずかしくないのか。死ね」でもってぶんなげて踏んづけたりする。でも、そのテッテ的な傍若無人ぶりに発憤し奮起する人もいたり、相手に投げつける酷い言葉が結果的に相手に何かを気付かせたり吹っ切らせることになったりして、こいつがただの暴君ではないのかな?と思わせるところもある。
何巻あたりだったか、突然「あなたの妻にしてください」と言っておかめか何かのお面を被った女の人がやってきて、顔も見ないで奥さんにするんじゃなかったかなあ。まあ顔は予想通り美人なんですけどね。
とにかく播磨灘のやり方、言動すべてを支えているのが強さです。純粋な強さって確かにある種の説得力があるからな。ただ見上げるしかない圧倒的強さに圧倒されるのは快感がありますね。こんなに強いのでは何をしてもしょうがない、と言ってしまうと、平民が独裁者に屈服してゆく精神構造のようでかなり怖いのですが。そういうのは虚構の世界だけにしておかなければな。「力こそが正義」みたいなのは。
ただ、「弱くてもささやかでも、正々堂々と真正面から挑むならそれでいい。負けたっていいじゃないか、戦う姿勢こそが大事で勝敗はどうでもいいのだ」といった、己の弱さを貧乏臭い正直さで正当化する風潮に対してハリセンチョップをくらわすような爽快さは確かにありました。
最後はどうなるんだろう。負けて終わるんだろうか。それは播磨灘には似合わないなあ。引退しても「弟子を育てる」なんて方面には絶対に行かない人だし。
最終巻でも誰かを投げ飛ばして罵倒しているのを下から見上げる構図で終わり、であることを願う。しかしとんでもない主人公だなあ。
とんでもないと言えばなんとアニメにもなったんだよ。しかしどうしてアニメ化しようと思ったんだろう。さわやかさのカケラもない主人公なのに。どんなオープニングだったのかしら。「投げ飛ばせ 踏みにじれ 弱い奴は虫ケラだ」とかいう歌かしら。違うと思うけど。
いつかどこかのブックオフかラーメン屋で最終巻を読むのを楽しみにしています。
拍手して下さった方、ありがとうございます!
> Sさま
わあ~もったいない(笑)もらって行けばよかったのに~。面白かったですよ。
悟空はねえ。ベジータが息子や妻に見せるチラっとした優しさとか、悟空を倒したい一心で上へ上がっていく執着心みたいなものを、全然見せませんからねえ。カミさんや子供に対してもえらい淡白だし、誰か個人を目指して鍛錬しているわけでもないし、それこそクリリンが殺されてブチ切れた以外は。すごいな、クリリン(笑)
執着しないこと五代雄介のごとし。あの二人似てるかも知れないな。頼まれるとなんでもがんばってやってあげる、基本優しいし明るくて素直で気持ちがよく、しかし誰も彼の胸の奥底には入れてもらえない。
めざせクリリンか、一条さん(笑)
またお話しにきてくださいね~