GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

Dr.クマひげ

今日は

「Dr.クマひげ」

原作は史村翔、作画はながやす巧。「愛と誠」を描いた人です。

好き嫌いは別として、一番絵のうまい漫画家はながやす巧ではないかなと思っている。人間の体から大自然からマシンまで実にうまい。緻密で丁寧で細部まできっちり書き込んでいる。加えて驚いたのはアシスタントが居ないそうです。奥さんが手伝ってくれるそうですが。あのすんごい絵を、オール自力で描くって、これぞ漫画家だと思うね。

主役の顔だけ描いて後はアシさんに任せる大御所とは雲泥の差よ

昔ドラマ化されたことがあって、主役を滝田栄がやりましたが、漫画そっくりで笑った。

外科医として超一流の腕と、人を救いたいという情熱をもったクマひげ先生は東京歌舞伎町の開業医です。呼び名の通りあごひげと口ひげ一体化、アルムおんじのヒゲ量を少し減らして黒くした感じ。レギュラーは、彼のもとで精進を重ねている見習いの若い医者と、柄の悪い黒いサングラスかけたヤサグレ刑事。この刑事さん過去にいろいろあって、医者なんてろくなもんじゃないと思っていたのだが、クマひげと出会ってちゃんとした医者もいるのだと気付く。だんだん、バカなことも一緒にやるような親友になっていきます。

クマ先生がいくら頑張っても全ての命が救えるわけではない。手遅れの病気、突発事故等で、せっかくこれからやりなおそうとしていた矢先の青年や、すばらしい作品を生み出していた人間が、目の前で死んでゆく。

その際の彼の慟哭は胸を打ちます。でもそれは単に「人が死ぬ描写なら悲しいに決まってるから」ではなく、クマ先生がどんなに頑張って人を治そうとしているか、またそういう人であるか、ちゃんとこちらを説得し納得させてくれているからです。

そしてまたこのクマひげ先生が良いのは、単にそういった真面目に病気に取り組む貧乏人の味方というだけでなくて、気が合ったおねえさんと一夜のラブアフェアーなんてのもちゃんとするのです。ちゃんとってのも何ですが。つまり、大人の男なのですね。

扉絵が時々超セクシーでね。このおっさんと楽しく話ができるような女になりたいもんだなと思う。

原作者は例によって史村翔なんですが、この話はホモ要素はなかったな。一回ヤサグレ刑事が飲み屋で「あれ、今日はクマ先生と一緒じゃないんですか」と訊かれ「あのな、俺はクマの野郎と結婚してるわけじゃねえんだぞ」と返すくらいでしょうか

笑ったのは、ワイルドウェイも原作が史村翔で、話の骨子がやたら似ている話があった。昔不良だった女の子がなんとか更正して働いているんだけど、どうしてもその過去の過ちが捨てきれなくて苦しむという話です。

史村翔は過去においてスケバンだった美人が好きなんでしょう。まあ美人なのが重要なポイントだろうけど。不細工な元スケバンの話はあまり作りたくないんだろうし

とにかく圧倒的な画力、黙って立っている絵だけでそのキャラクターの何かを伝えてくるような絵の力でもって、すばらしい作品であります。これ、同じ話をペラい絵でやったらただホント上っ面の説教みたいな印象になると思う。

拍手してくださった方、ありがとうございます!