今日は
曽田正人氏がスピリッツに連載した漫画。
好きな漫画と言いながら、実は最後まで読んでいません。途中の巻も飛んでいる。つまりブックオフやラーメン屋にある巻しか読んだことしかない。そんな読み方しかしていないのに好きな漫画と言ってしまうのはまずいかも知れませんが、『読んでいてどうしようもなくその世界に引きずり込まれてしまう、続きが気になって胸がよじれる』のはやはり好きな漫画であろう。
今調べてみたらまだ途中で休載しているらしい。しらなんだ。
主人公は宮本すばるという名の女の子で、彼女がバレエにかける情熱と才能の物語です。スタートは小学生、はたち前後まではいっていた気がするが、上記の事情により私が読んだ時点ではでございます。
他の幾多のバレエ漫画や、ガラスの仮面と同じく、まだ無名の彼女が次第に頭角をあらわし、周囲のビッグネームが「誰だ、あれは」的にショックを受ける様子を見るのは、一種独特の快感があります。その繰り返しで螺旋を上へ上ってゆく訳ですが
彼女の性格が独特なのです。万人には好かれない。読者によっては不快に感じるだろう。
天に与えられた才能を持っている人間の設定は大体が「普段は平凡で地味、その時が来ると別人」な感じですが、彼女はそうでもない。まあ、普通の女の子が興味を持つようなことを全く知らないみたいなのはあるけど、どっちかというと勝ち気で猛烈に負けず嫌いでバカにされると泣きながら怒る。
そしてとにかく最強のナルシスト。冒頭部で、彼女がなぜ踊ることになったのか、そのつらく重い事情についての説明があるのですが、そのつらささえも彼女にとって「私って、可哀想」というモチベーションになる。その徹底ぶりには頭が下がるほど。
すばるの幼なじみの女の子が居て、この子もバレエをやっている。最初はこの子の方が上手なんだけど、いつしか逆転し、この子を下見に来た人間がすばるに目をつけたりするようになる。彼女はすばるが、結局なんでもかんでも自分の力にしてしまうのだと気づいている。でも、どうしてか、彼女が弱いところを見せると、ついついすばるの為に力を貸してしまう。そのたびに後悔し、あたしったらバカだ、すばるちゃんてそういう子なのに。と悔しがる。いや、リアルです。
バレエというものはおそらく、運動神経が抜群にいい人間が子供の頃からもんのすごく努力すれば頂点に立てるか、というとそうではないものでしょう。何か、を、生まれもって持っているかいないかで決定される。その、針の先ほどの選ばれし天才ってものはこういう人かな、と思わせてくれる漫画でした。とにかく絵の力がものすごい。もちろん絵ですから止まってるんだけど、動いて見える。彼女がどんなふうに観客を圧倒するか、苦痛すら与えるほどの力で観客をねじ伏せてゆくさまが見えるような気持ちになる絵です。
ああ最初から最後まで続けて読みたいものだ。だったら買って読め。
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