GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

シン ウルトラマン

レイトショーで観てきました。面白かった!
マニアさんみたいにでなくても、ウルトラマンのことを知っていて、そして好きだと思っていた人間なら誰しもがぐっとくる場面、設定が沢山ありました。なんといっても、様々な怪獣に国土をめちゃめちゃにされ懸命に戦う人間たちの前に初めてウルトラマンがやってくるシーン、土埃が消え去ってその全身をはっきりと現したシーンは、涙が出そうになった。なによりも戦うシーンのかっこ良さよ。他のどんなヒーローでもなくて、ウルトラマンこそのかっこよさって、これだよねと思う姿であった。そこのところがちゃんとわかってなかったり奇を衒ったりして、観ている人間が「こんなの僕が私が好きだったウルトラマンじゃない」と思ってしまったらおしまいなわけですよ。リブートもへったくれもない。でも、そこは揺るがなくて、その上で現代風の科学知識とか政治とかネットとかの味付けがあったと思います。そこら辺の現代的なあれこれで「何故ウルトラマンは天空に去って行った後と、いつの間に地球人のハヤタとかモロボシとかその他になってるんだろう」とか「何故怪獣は日本にしか出ないのか」などの昔からのウルトラマン世界での疑問に回答を出していました。
相変わらず奇妙な角度からの撮影をしていた。なんだろうね。ものすごく近くのものにピントを合わせて向こう~の方の画面隅っこに役者の姿が映ってる感じ連発。
そして斉藤工が今回のウルトラマンで、私はこれまで斉藤工という人の演技力については、正直それほどのものとは思っていなかったのです。あの…なんだっけ、たいらのきよもりでスズキ丸をやった人。スペシャルな沈まぬ太陽のオンチをやった時に「へえーうまいんだ」と見直した人(失礼極まりない)あの人みたいな扱いで。でも今回、外星人が地球人の姿をとっているのだ、と思わせられた。彼のとてつもない孤独と、たとえ自分が死んでも地球が守れるのならばかまわないという言葉が、本心から出ていることを、納得させてくれるものがありました。にしじまさんと斉藤工の組み合わせがよいものだということもわかったし、にしじまさんが特にキャラクターを強調するようなわざとらしい部分が全くないのに、終わる頃にはにしじまさんの演じた人間について理解できている感があるというのが、すごいんだなと思った。メゾンドヒミコの頃から、これといって特徴がないんだけど、妙に存在を印象付ける人だなと思いました。
ゾフィが地球を滅ぼそうとするのが悲しかったですが、でもこの作品ではこんなにしてまで地球を守ろうとするウルトラマンこそが異端であるのだと理解できたので、仕方ない。ゼットンが太陽系もろとも地球を蒸発させる装置の名前で、じわじわと育って行く様子が青空の向こうに透けて見えている構図が怖くて良かった。完全に育った時にはわれわれは宇宙から消え果てるのに、そんなことを知らずに幼稚園へ行ったり工場で働いたり一杯やったりしている図。とても怖い。
ザラブったら!ウルトラゾーンで丘みつ子とはあんなに良い感じだったのに!なんでこんなひどいことするのよ!バカバカ!人には心ってものがあるんですからね!
メフィラス、良かったね。あくまで相手を下に見ているからこその鷹揚さ。大人げ。ゾフィの姿をみとめて「この星ももう終わりか」と一瞬で身を翻すあたりの淡々さ加減。彼らにとって地球が宇宙から消えることなんて、幾度も幾度も繰り返された「間違った育ち方をした&しかけている人類の星の管理」に過ぎないんだよね。
長澤まさみ斉藤工ウルトラマン)との関係も、男女のにほひが入ったら嫌だなと思ったけど、最後まで入らなかったので嬉しかった。ラストが、私は正直わからなくて、結局どうなったの?ウルトラマンが言ったみたいに、これからどんどんやってくるようになるであろう外星人の脅威から地球を守るためにこれからも地球に残るんじゃないの?でも光の国(星と言っていたか)の掟でウルトラマンは戻らないといけない?てことはやっぱ人間の斉藤工だけが地球に残って、ウルトラマンは連れて行かれたってこと?斉藤工にはウルトラマンが彼の中に居た記憶はあるの?あって欲しい、彼がどんなにこのちっぽけな地球と地球人のために、精一杯戦ってくれたのかを、誰よりもちゃんとわかっている存在として…
でもこれから生きにくいだろうなあ、大変だ。長澤まさみのビックリ映像はメフィラスが全部消してくれたけど、それでも彼女も生きにくいだろう。
ウルトラマンが戦っている時にはとにかく、心の中で「ウルトラマン!がんばれ!がんばれ!」と叫び続けていました。観た人誰しもがそうだと思う。長澤まさみのセリフではないが、本当にきれいだった。痛々しく、申し訳なく、そして地球のために戦ってくれて嬉しかった。それは原作のフィルムを観ていた頃からずっと胸にあった気持ちだと思う。私はその、昔ウルトラマンの姿を生み出した成田亨さんという人のことを知らなかったけれども、この映画のウルトラマンは本当に「これが、ウルトラマンなんだ」と思う姿をしていました。それだけちょと言いたかった。

スクリーンで観て良かった。ウルトラマン地球を守ってくれてありがとう。

 

あと、メフィラスとの会話の居酒屋のシーンで、五木ひろしの「小鳥」という歌が流れていたんですが、あれは、日本沈没のテレビドラマの挿入歌なんです。私あのドラマ大好きで何度も見たのよ。日本が沈没していく地獄の中でそれぞれが頑張っていたの。でも力尽き沈んでいくシーンで流れていたのを覚えている。印象深い歌でした。