GRJ日記

サイトの日記代わりです。やや古いマンガやや古いアニメやや古い特撮(略)大好き。

INSIDE

ゲーム実況を観ました。以下ネタバレします。
3D視点の横スクロールアクションといった感じで、戦闘はありません。見つかったり捕まったりしたらその場でゲームオーバー。ひたすら走り、隠れ、タイミングを見計らって飛び出し、敵を罠に嵌め、先へ進む。主人公はジャンプ、掴まり、スイッチを入れたり箱を動かしたり。ある程度以上高いところから落ちれば死ぬ。長時間潜水すると溺れて死ぬ。
壮大な謎を秘めた背景とバックストーリーがあるようなのですがゲーム内での明快な説明はありません。ラストも、謎の解明とか、ボスを倒しての勝利とか、完全に脱出して自由を手に入れるとか、これからは幸せな未来が待っているであろうという示唆とか、一切なく、ただただ、すっかり変わり果てた主人公が、静かにたたずんでいる姿でスタッフロール。
思った事は2つあって
操作するキャラクターは通常、何か特別な存在です。たとえ一等兵Aだとしても、ただの中学生だとしても、全てをクリアし生存しているというだけで他の誰とも違う。しかしこのゲームの主人公は、全く特異性がない。モブ以下。そういう終わり方なんです。それがすごくショックでした。
そしてもうひとつ、このゲーム画面を見ていて何よりも、ステージが本当に魅力的なんです。ひたすら暗く、暗鬱で、野外にしても施設内でも本当に、のしかかるような「追われている」感がつきまとっていて、それでいてとても「この場所に居る感覚」のとりこになる。なんだろう、この、恐怖と隣り合わせの懐かしさは。まるで、マグリットとか、キリコとか、あと私の好きなベクシンスキーの絵の中を逃げているような感じがするのです。怖くて懐かしいってまさにそれで。どれだけ逃げても、上で言ったような平和とか大団円とか青空なんかにはたどりつかないとわかっている。絶望で終わるのがわかっている。
そういうのはあまり得手ではないのですがこれほどまでに美しく圧倒的に完璧だと、ただ魅せられるね。説明がないのなんて瑕にならない。いくたまきさんの短編漫画への賛辞のような。
媒体を持っていないし私なんぞには出来やしない難易度なので自分ではやりませんが、媒体とゲームの腕を持っている方には是非やって欲しい。そしてこの、絶望と恐怖と懐かしさを体感して欲しい。